2006.08.13 Sunday
コンプライアンスの題目だけで、実態は・・・
液晶テレビを作るシャープの亀山工場(三重県亀山市)で04年3月に
全治約1カ月の労災事故が起きたのに、シャープの工場ではない場所で 事故が発生したように偽った「労災とばし」の報告書が下請け会社に よって作成され、労働基準監督署に提出されていたことがわかった。 けがをした男性(43)は、多重な偽装請負のもとで働いており、 三重労働局が実態調査に入る。 偽装請負は安全に関する責任の所在がメーカーと請負会社の間で あいまいになり、労災隠しや労災とばしが起きやすいといわれている。 事故があったのは、亀山工場内でパネル材料や薬剤を運ぶ工程。 契約の上では、シャープはこの業務を元請けの「日新」(横浜市)に 委託し、元請けは1次下請けの「光明」(埼玉県狭山市)に、さらに 1次下請けは2次下請けの「アサヒサービス」(愛知県安城市)に請け 負わせた。けがをした男性は2次下請けに雇われていた。 しかし、1次下請けも2次下請けも男性を自社の指揮命令下に置いて おらず、人材派遣をしただけの「偽装請負」だったことが調べで明らか になった。その場合、男性は元請けかシャープの指揮下にいたことになる。 男性は作業の際、PHS(簡易型携帯電話)を渡され、シャープの正社 員から頻繁に具体的な指示を受けていたといい、偽装請負にシャープも 関与していたと主張している。 これに対し、シャープは「元請け会社の責任者に指示していたつもり。 男性に直接指揮命令したとの認識はない」と偽装請負への関与を否定して いる。 男性は04年3月22日、パネル材料の束(幅2メートル、奥行き1.2メートル、高さ1.2メートル)にかけられたシートをはずそうとして、 作業台から転落し、胸の骨が折れる全治29日のけがを負った。 男性によると、事故当初、直接の雇用関係のない元請けから「自分の国民 健康保険で診療を受けてほしい」と指示された。男性は「労災扱いにならな いのはおかしい」と抗議。その後、労災扱いに切り替えられたが、2次下請 けの担当者から「シャープに迷惑はかけられない。事故は1次下請けの事業 所で起きたことにする」と口裏合わせを求められたという。 報告書を作った2次下請けの担当者は「下書きではシャープと書いたが、 上司に書き直しを命じられた」と話した。 シャープは、労災とばしについて「行政へは請負会社が届けており、 事実と異なる届け出がおこなわれていたとは知らなかった」と話している。 最近、日本を代表するような大企業で偽装請負の問題がクローズアップされているが、日本を代表する企業としては、あまりにも悪質だ。 不二家もISOを取得している。いったいISOとはなんなのか? ISOの信頼性に疑問をいだく。 企業ぐるみで隠蔽してしまえば、どんなことでもできてしまう そんな 世の中ではないか。 雪印食品の牛肉偽装問題で、ある関係者から聞いた話だが、その話に よると新入社員が入社し、配属先によれば、配属された日から輸入 牛肉を国産牛に偽装する仕事をしていたそうだ。 こんな残酷なことも世間では起きている。 果たして企業の倫理とはなんなんだろう。 その根底には、やはり日本人の倫理観の欠如があるのではないか。 食品偽装、偽装請負に加えて、名ばかり管理職の問題が深刻化している。 名ばかり管理職とサービス残業、超長時間労働と問題の体質は同じだが、 どうして企業は法律を無視し、労働者を酷使し、命を奪い、罪悪感も なく営利のみに走れるのか。 名ばかり管理職は、多くの企業では就業規程などで管理職と定めれば 管理職昇進とともに時間外を払わない。それが労働基準法的に管理監督 者にあたらなくても・・・ |