2008.05.22 Thursday
あらたな認定
海外出張を繰り返した後、01年10月にくも膜下出血で死亡した男性の妻が、遺族補償年金などの不支給処分の取り消しを求めた訴訟で、東京高裁(青柳馨裁判長)は22日、男性の死亡は過労が原因だったと認定。一審・長野地裁判決を取り消し、松本労働基準監督署の処分を取り消す判決を言い渡した。
01年2月から海外生産拠点の技能認定を担当。01年9月28に20日間のインドネシア出張から帰国し、その3日後に今度は東京出張を命じられ、10月4日に死亡した。00年11月から死亡するまでの約11カ月間の海外出張は、中国やチリなど183日に上っていた。 青柳裁判長は「出張による疲労が蓄積した状態で、業務を継続せざるを得ない状況にあった」と認定。くも膜下出血と業務との因果関係があったと判断した。 一審は残業時間が、労災を判断する際の厚労省の認定基準「月45時間」に達しなかったことなどから、請求を棄却していた。妻の代理人弁護士は今回の高裁判決について「残業の量的な判断でなく、海外出張の繰り返しという質的な基準から、労災を認めた判断は珍しいのではないか」と話した。 |