2010.01.28 Thursday
ピッチャー小林
プロ野球、日本ハムの小林繁投手コーチが心筋梗塞による心不全で亡くなった。57歳だった。小林さんは倒れる前に「背中の痛み」を訴えたと伝えられるが、専門医によると「心筋梗塞の痛みは胸に出るとは限らない」という。
「心筋梗塞を起こす前、突然、背中が痛み出し、その痛みがいったん治まったのであれば、不安定狭心症の発作による痛みの可能性が考えられる」とのこと。 狭心症は心臓を取り巻く冠動脈の血流が動脈硬化などで一時的に悪くなり、その間、多くは胸部に締め付けられるような痛みが現れる。しかし、背中や肩、あごなど胸以外の部位(別項)に痛みを感じるケースもある。 「心臓の近くには神経が交差していて、放散痛といって神経が間違って本来痛みのないところに痛みを感じてしまうのです」 この狭心症の発作は最長でも30分以内には治まるのが特徴だ。 【初発でも心筋梗塞に】 ただ、発作を頻発する恐れのある不安定狭心症では血栓ができやすく、心筋梗塞に移行しやすい。 「それがはじめて経験する発作の直後に起きてもおかしくない」とし、「血管の面積でいえば90%ぐらいの狭窄がないと症状は出ない。普段、軽い狭窄を繰り返していても気づかない人は多く、たまたま大きな狭窄が起きてそのまま心筋梗塞に移行する場合がある」と説明する。 血管を狭窄させる原因は2つある。一つは動脈硬化で内腔が狭くなっている場合で、運動時に発作が起こるので分かりやすい。しかし、油断しがちなのは安静時に起こるタイプ。これは血管のケイレンが原因で起こる狭窄で午前4時から同8時ぐらいの朝に起こりやすい傾向がある。 【隠れたリスクに注意】 いずれにしてもベースに動脈硬化があるので、予防は高血圧、糖尿病、高脂血症、喫煙などの危険因子を1つでも多く減らすこと。ただ、普通の健診では分からないリスクがあるという。 「“早朝血圧上昇”は24時間血圧計でないと分からない。また、糖尿病と同様に血管に悪い“耐糖能異常”を調べるには糖負荷試験などが必要になる。基準が厳しいメタボ健診で怪しいところがあれば精密検査を受けるべきです」 血管系の病気は1度起きたら「最初で最後」の危険性がある。事前に危険因子を一つでも減らしておきたい。 ★狭心症の痛みの現れ方 《場所》胸部以外では左右関係なく肩やあご、背中、みぞおち 《痛み方》締め付けられるような痛み、焼けるような痛み、胸がつまるような感じ、胃がむかつくような感じ |